さて、少し間があいてしまいましたが、
前回の「打ち出し方向編」に続いて、
今回は「曲がり」についてチェックしていきましょう!
ボールの曲がりは何で決まる?
前回の記事で、ボールの”打ち出し方向”は
「フェースの向き」が原因のほとんどを占めていることを説明しました。
一方で”曲がり”は何が影響しているかというと、
話は少し複雑になります。
なぜかと言うと、”曲がり”には
『 「スイング軌道」と「フェースの向き」 』
2つの要素が影響してくるからです。
2つの要素の関係を説明した「Dプレーン」
この”曲がり”について調べていくと、
ほぼ必ずと言っていいほど
「Dプレーン」
という理論に行き着くでしょう。
この「Dプレーン」調べるとなんだか複雑そうに感じてしまいますが、
実はめちゃめちゃシンプルです。
簡潔に言うと…
- スイング軌道に対するフェースの向きによって曲がる方向が決まる
- フェース向きの角度によって曲がり幅(≒横回転数)が決まる
この2つが要点です。

上図のように、
スイング軌道(黒点線)に対してフェース向きが…
・閉じている →フック回転
・垂直 →ストレート
・開いている →スライス回転
となります。
そして、この「軌道とフェースの向きの差」が
大きければ大きいほど、曲がりが強くなります。
【Column】
このDプレーン
「よく耳にするけどそれだけ!?」と、拍子抜けした方も多いでしょう。
実際私も、「何か画期的な理論なんだろう!」と意気込んで調べた過去があります。
ただ、実際発表された当時はかなり画期的だったようです。
というのも、それまでは
「打ち出し方向は軌道で決まる」といった、
真逆の理論が主流だったからなんですね。
なんだか「地動説と天動説」みたいなお話ですが、
それもこれもカメラ性能の向上など、科学の発展に感謝です…
実際の球筋と原因
ざっくり曲がりの要素(Dプレーン)について確認したところで、
具体的な球筋についてチェックしていきましょう。
スライス
スライス球はきっと誰もが悩まされたことがあるでしょう。
下図だと⑨のように、
・右に打ち出し
・右に曲がる
球筋がスライスボールです。

これを、今までの理論から整理すると…
・右に打ち出し = インパクトでフェースが開いている
・スイング軌道が真っ直ぐ~アウトサイドイン傾向 (の、確率が高い)※

※★がターゲット、赤矢印が出球と球筋
前出の図では簡略化のためスイング軌道を直線で描きましたが、
クラブ軌道は必ず円(半円)を描きます。
上図のように、アウトサイドイン軌道でフェースが開いていると、
右に出て右に曲がる典型的なスライス球になります。
これは分かりやすいですね。
では、同じ軌道で、フェースがターゲットを向いている場合はどうでしょう?

正解は、
「ターゲット方向に打ち出して、右に曲がる」
です。
少し分かりづらいと思うので、もう少し詳しくみてみましょう。
曲がりの決定要因は
スイング軌道に対してのフェース向き
であることを確認しました。
上図のボール付近にズームしてみましょう。
そして分かりやすいように、
「インパクト時点の軌道が画面に対して垂直」
になるように、画像を回してみると…

お分かりでしょうか?
”軌道に対して”フェースが開いている状態になりましたね!
ちなみに前述のスライスの原因で
「・スイング軌道が真っ直ぐ~アウトサイドイン傾向 (の、確率が高い)※」
とちょっとぼやかして書いたのも、ここがポイントです。
いくらインサイドアウトで振ったとしても、
その軌道よりもフェースが開いていればスライス回転がかかるからです。

ただ、ここまで強烈にフェースが開くことはあまり無いと思うので
このパターンはあまり気にしなくてよいでしょう。
フック

フックボールは、上図①のように「左にでて左に曲がる」ボールです。
発生する要因はスライスとは真逆になり…
・左に打ち出し = インパクトでフェースが閉じている
・スイング軌道が真っ直ぐ~インサイドアウト傾向
となります。

OBを減らすには…?
ここまで見てきた通り、
“ティーショットの精度が低い”理由には、
様々な要因が影響します。
・フェースの向き
・スイング軌道
この2要素だけで球筋に9種類もの変化がついてしまうのですから、
「万人に共通した解決策」みたいな物が無いのも理解できますね。
ただ、以下のポイントを練習で意識することで
OBの確率はぐっと減らすことができるかも知れません。
原因をしっかり把握する
意外と多い間違いが、
「OBの原因を勘違いしている」
という点です。
どういうことかというと
「右のOBが多いのでスライスだと思っていたが、
実は派手にプッシュアウトしてOBしていた」
みたいな状況です。

繰り返しになりますが
・打ち出し方向はフェースの向き
・曲がりはスイング軌道
に、影響されます。
なので、上図でいうスライス(⑥or⑨)とプッシュアウト(⑧) は、
「右にOBする」
という点では同じですが、そもそも修正するべき項目が違ってきます。
自分1人で確認するのは少し難しいですが、
ラウンド時に同組の人にチェックして貰うなど、
「本当に曲がってるのか?」は抑えておくといいでしょう!
何から直すか
ここからは飽くまで私の意見です。
原因が分かったら修正のための練習をしていくことになると思いますが、
スイングが大きく崩れているような場合を除いて、
「フェース向き」から修正していくことをオススメします。
・スイング軌道は骨格なども影響してくるため、修正が難しい上に時間がかかる
(上手い人に”持ち球”があるのも、これが要因ですね)
・フェース向きが意識できれば球のコントロールも良くなる
こちらが「フェース向きの修正」を優先させる理由です。
ちなみに
「フェース向きの安定=ミート率の安定」にも繋がるので、
結果的に“曲がり”だけでなく“飛距離ロス”の防止にもなります。
具体的なレッスンは多くのプロが情報を発信していますので
そちらをご覧頂くとして、
ティーショットの不安定さにお困りの方は、
是非「フェース向き」を意識した練習を取り入れてみて下さい!
※注意
ただし、首斬りスイングの様に、「ゴルフ始めたてでちゃんとスイングフォームが定まってない」といった場合には、しっかりとスイング軌道を見直すことをオススメします
まとめ
前回の「打ち出し方向編」と合わせて2回にわたり、
ティーショットを安定させるための要素を確認してきました。
・打ち出し方向はフェースの向き
・曲がりはスイング軌道
それぞれがどのように影響しているか、
参考になりましたでしょうか?
みなさまの気づきと、練習の参考になれば幸いです!


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